月と椅子の話  *SAMPLE


月×L。ノートの記憶を取り戻し手錠を外した月とLの最後の夜。殺伐系エロ。  R18
絵その他:麻野耳(7P) 小説:ぷーこ(21P)


気がついたことがある。
月くんはソファには座らない
いつも定位置になった画面の前に座っている
左側のその席には、自分以外の誰も座らせないのだ。











 顔を上げれば、椅子の上に固定された剥き出しの白い腿が目の前にある。日に晒されたことのないその肌は異様なほど白く、皮膚の下を流れる細い血管の一本一本までが透けて見えそうな気さえする。その付け根の一番白い柔らかな部分に唇で軽く触れると、竜崎はぴくりと膝を震わせた。両手を縛める鎖が椅子の背に擦れて、鈍い金属音を響かせる。
「…こんなところで」
 左右に黒目を走らせて、竜崎は非難がましく低い呻り声を洩らした。
「誰か来たらどうするつもりですか」
「誰も来やしないよ。みんな昨夜までの緊張が解けたせいで一気に気が抜けて、死んだように眠ってる。それに、もし仮に誰か起きてきたとしても」
 指先で軽くキーを叩く。
「おまえが監視してればいいさ」