Triangle  *SAMPLE

nominaLism あるいは空の器     手錠時代。こんなタイトルですが唯名論の話ではありません。 3P


「つまり、器なんですよ」
 鎖が緩く引かれる感触がして月がモニタから顔を上げると、だらりと垂れ下がった鎖の先ではちょうど竜崎が空っぽになった餡蜜の器を片手にくるりと椅子を廻したところだった。さっきから微かに甘い香りが漂っているような気がしたのはこれか、と月は横目で竜崎の背中を眺めながら合点した。




眠り姫 Sleeping Beauty    これも手錠時代。松田と月が竜崎をとりあう話…にしたかった。9P


 いつものように両手一杯に買い物袋を抱えながら「ただいま戻りましたー」と語尾を伸ばして松田がドアを開けたのと、ソファの上に屈み込んでいた月が半身を起こしたのとは、きっとほとんど同時くらいだったと思う。
 ゆっくりと顔を上げた月の髪がさらりと揺れて、松田はどきっとした。ソファからだらりと無防備に投げ出された竜崎のひょろ長い腕が、床の上まで届いていた。



Live and Let Die(死ぬのはお前だ)     松田と月。月が痛い。アニメSPっぽい。4P


「大丈夫ですよ」
そう言って辛そうに微笑んでみせると、松田は今にも泣き出しそうな顔を歪めて震える声で言った。
「…僕もショックだったけど、月くんはもっと…」
頬が引き攣るのを抑えることが出来ず、月は思わず口許を手で押さえて顔を背けた。



Triangle-L/M  月と松田は数字だとしたら6と9のようなもんです。3P/3P