L.A.コンフィデンシャル
僕が警察庁に入ったのは、拳銃を撃つ刑事のかっこいい姿に憧れていたからです。
もし僕がそう言ったら、きっと皆はやっぱりね、と思うに違いない。だから出来れば違う理由を言えたらいいんだけど、実はまったくその通りで、子供の頃にTVで見た刑事ドラマの派手なカー・アクションや、犯人を拳銃で撃つ刑事のクールでタフな姿に憧れて、それだけで親戚のコネを使って警察庁に就職したんです、実際のところ。
どうもすみません。
だから最初の頃はキツかった。相当キツかった。
もちろん配属されたばかりの新人がいきなり殺人事件なんて担当させてもらえるわけもなく、最初はただひたすらドサ周りをやった。どこで何をやってたかはここではあえて省略するけれど、それはもうツラい仕事だった。仕事行きたくないなあ、やめたいなあ、と毎朝布団の中で考えた。
けれど、もともと警察だってコネで入ったうえに、辞めたからと言って再就職するアテもなかったので、とりあえず我慢して働き続けていた。
それでも、辛い警察生活の中で拳銃射撃の訓練だけは楽しかった。
一生懸命練習したおかげで、数年後には僕の拳銃射撃は同期の奴らからも一目置かれるくらいの腕前になっていた。というか、周りは結構一流大学卒のエリートが多くて、頭を使う仕事では到底彼らにかないっこないし、武術なんかでは全国大会レベルの奴らがゴロゴロいて、警察の仕事の中で僕が太刀打ちできそうなものはそれくらいしかなかったのだ。正直なところ。
どうもすみません。
僕が初めて拳銃を撃ったのは、警察学校での射撃訓練のときだった。
その頃、僕は22歳。
初めて持った本物の拳銃は掌にずしりと重く響いて、僕はそれを持つと自分がついに本物の刑事になったような気がして、無邪気に喜んでいた。密かにかっこよく拳銃を構える練習なんかしたりして、現場でそれを披露する機会が訪れることを僕は期待していた。掌の中の拳銃の重さが、ほんとうはどういうことを示していたのかも知らず。
僕が実戦で拳銃を使うことになったのは、その9年後。
僕はそのときこの手で初めて人を撃った。
僕が撃ったのは、キラ。
つまり、夜神月、だった。
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松田と月の話です。ちょっと長いです。
続きます。
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